今日の日本経済新聞(令和元年12月19日)の一面トップに「投信手数料下げ拡大」という見出しの記事がありました。公的年金だけに頼れない中で、投信手数料が低くなることは個人の長期投資を促すことになるというが、本当にそうだろうか?
現場からお伝えしよう。
もくじ
日本人の投資への現状
金融庁から平成29年10月に公開された「平成28年事務年度金融レポート」が面白いので紹介します。このレポートの49ページからにかけて、「家計が保有する金融資産構成の日米比較」という章が始まります。一部ショッキングなデータを引用します。
この図は、1995年から2016年までの21年間で、イギリス、アメリカ、日本の家計金融資産がどのように増えたのかを比較するグラフです。
日本が約1.5倍になっているのに対して、アメリカは3.2倍、イギリスも2.5倍にも増えているのがわかります。
こんなに差がつくのは、バブルのあとの失われた20年なので仕方ないと言う人もおられると思います。しかし私はそれだけではないと見ています。
このグラフで特筆すべきは、真ん中の緑のアメリカのグラフが顕著ですが、「運用リターンによる家計金融資産の推移」を示していることです。
つまり自分の資産を運用する割合が大きかったということです。それを裏付けるデータを次に示します。引用は先程の平成28年事務年度金融レポートからです。
アメリカの割合が、株式や投信、年金保険に大きく割り振られているのに対し、日本の資産の約半分が預金現金であり、その割合は殆ど変わらないという現実が見えてきました。
スポンサードリンク
投資への意識の差が生む格差
家計の資産を増やすために、私たちがしてきたことは、
- 仕事を頑張る。
- 新しいことに挑戦する。
- 事業を拡大する。
- 良い会社に転職する
- etc.
そんなことが中心だったのかもしれません。
しかし、アメリカ人の家計を見たとき、私たちと差が出ていることは紛れもない事実です。
そして、その大きな違いは「投資への意識の差」だということです。
つまり「知っているか知らなかったか」の違いです。
投信手数料の値下げは、投資への興味につながるか?
日経新聞の一面トップに出た記事を、日本の一般の家計を支配している奥様方が知っているだろうか?意識の高い方以外は殆ど知らないのではないだろうか?
手数料の値下げが、投資をすすめるということではなく、それをきっかけとして正しい情報が広く伝えられることが重要だと思います。
特に若い世代への、投資教育が大事になってくると感じています。
まとめ
日本人の投資へのアレルギーは本当に大きいなぁと感じています。日本には、今話題になっている「かんぽ」にあずけていれば10数年で資産が倍になるなんて時代も、そんな昔ではなくありました。リスクを考えなくても資産を運用ができる時代が長くありました。退職金も年金も、国と企業に任せておけば安心安全な国だと勘違いしていた時期がありました。
しかし、そんな時代は既に終わっています。
知ってる人と、知らない人で格差が生じる時代が来ていると思います。
ファイナンシャルプランナーとして、今後もブログを通じて、役に立つ金融知識を伝えていきたいと考えています。それが、日本の未来のためにもなると思います。