新型コロナウイルスのパンデミックが全世界で収束していないのに、「コロナ後の世界」を大胆予想するのは、時期尚早かもしれません。
今回のパンデミックが、一日も早く収束し、命落とされる方が全世界で一人でも少なく、そして周辺被害が小さく終わることを一個人として祈ります。
パンデミックは、今までの感染症の歴史から見ても必ず収束する時期がやってきます。そして、その後、今回の試練を共有し、新しい世界を生きていくことになります。
人類は、今までも多くの困難を乗り越えて、あらたな教訓をいかし、新しい世界を作ってきました。この困難を乗り越えた後の世界を、ファイナンシャルプランナーの視点から、考察してみたいと思います。
もくじ
コロナ後の世界は、すべてが変わる。パラダイムシフトが起こる。
金融・仕事・教育・医療・ネット・国家。今まで第二次世界大戦後に培ってきた私たちの世界秩序が大きく変わるきっかけになります。
これは、危機を乗り越えた後、元の世界に戻すということではなく、価値観が変わった次の世界に進むということだと思います。
今までも人類は、大きな危機を乗り越え、そして新しい世界を作ってきました。今回も大きな変化、今までとは違う価値観が広がる新しい未来になるきっかけになると思います。
では、これからの未来を考えるためにも、過去にあった出来事を改めて確認してみましょう。
コロナ後の世界を考えるために、90年前の世界恐慌を参考に
未来の予想をするには、過去を検証するのが一番の近道だと思います。90年前に起きた世界恐慌を例に、その復活までを簡単に振り返ってみたいと思います。
1929年にアメリカのウォールストリートから始まった世界恐慌
1920年代、世界恐慌前夜
1920年頃から、アメリカでは電気が各家庭に張り巡らされ、自家用車や、家電が徐々に一般的になり、世界でももっとも進んだ社会が成熟していきました。
そのころ、裕福になってきたアメリカ市民は、今まで特別の人々だけがやっていた株式市場への投資することを覚えていきました。株式投資をすることが、お金を増やすことができる、更に裕福な生活ができる手段になっていきました。一般の人までが借金をして株式に投資する。株式に投資することがアメリカンドリームとなっていきました。
株価はどんどん上がっていきます。いわゆるバブル景気です。
1929年アメリカ発の世界恐慌のはじまり
世界恐慌は1929年から始まったアメリカの株価の大暴落から始まり、1929年から1932年の間に、世界の国内総生産(GDP)は推定15%も減少しました。
株価の大暴落(バブル崩壊)は、銀行の破綻などが起き、財産を失った市民にあふれ、企業が倒産して失業率が急激に上がりました。このショックは全世界に波及していき、結果的に世界恐慌といわれるようになります。
2008年のリーマンショックがGDPの減少が1%だったことから見ても、どれだけ大きなショックだったがわかります。
フランクリンルーズベルト大統領によるニューディール政策、公共事業によるてこ入れ
世界恐慌からの復活のために、当時のアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトは、今までとは異なり、政府が市場経済に積極的に関与するといった政策を短い期間で行いました。
テネシー川流域の開発など、公共事業を始め、積極財政に舵を切りました。政府主導によって、ダム建設などの大規模な公共事業を起こし、失業者を救済していきました。
第二次世界大戦へのきっかけにも
世界恐慌をきっかけとして、深刻な経済危機を打開するためイギリス・フランスはブロック経済に移行していきました。ブロック経済という保護主義は、当時植民地をすでに多く持っていた列強にとっては都合のいいものでしたが、日本やドイツなどにとっては、逆に厳しい政策でした。このような背景が第二次世界大戦背景にあると言われています。
また、アメリカが世界恐慌を完全に克服できたといわれるのは、第二次世界大戦の軍事特需でといわれています。
コロナショックの今起きようとしていること
今、各国は、新型コロナウィルスの蔓延、そして医療崩壊を防ぐために人々の行動を自粛を求めています。
日本では外出の自粛を依頼などと生ぬるいことをいっていますが、各国の外出禁止に関しては、もっと強制力を持って行われています。
「イギリス政府 飲食店閉鎖などで賃金の80%肩代わり」といった報道もありました。強制する代わりにキチンと保証をするというスタンスです。また法人に対しまとまった額の補填と、一年間の法人税の免除など、政府の大きな支援が約束されているという報道も目にしました。
アメリカでは「新型コロナ 米の緊急経済対策が成立 総額2兆2000億ドル」アメリカ国民の個人に対して日本円にして一人13万円を支給という話です。
日本では、「新型コロナ 現金給付1世帯30万円 一定水準まで所得減少の世帯」と欧米の施策から見ると、ぱっとしない政策ではありますが、現金を給付することになりそうです。
平時では、何年もかけて議論する課題を、権力者が一夜にして決定してしまう。それが、有事に求められている指導者への役割でもあります。
財政の悪化と積極財政による後遺症は?スタグフレーション。
積極的な財政出動は、今まさにキャッシュフローが足りない法人個人を助けるために、真水(現金給付)として必要な政策です。
ただし、これらの政策には後遺症が伴うのも仕方ないと思われます。積極的な財政出動はインフレを助長します。しかしながら、失業率は改善しない、賃金は上がらない。そんな悪循環が一時期続く可能性があります。
インフレが起こるということは、ものの値段が上昇します。しかし、賃金は上がらず経済成長しない。そんな減少のことをスタグフレーションと呼びます。
一時的に、こういった状況になることは、仕方ないかもしれません。1973年オイルショックや、2008年リーマンショックでもおきた現象です。
コロナショックからの回復の鍵は?
過去の緊急危機事例からも、厳しい局面が数年続くことになると思います。
そんな中で、今までになかった産業ができ、今までにある産業のキャッシュポイント(お金の出入りのポイント)が変わり、お金に関する考え方が変わり、人々の行動が変わっていくことになると思います。
その結果、今までの産業も活性化して、新しい人材が新しい価値観で、時代をリードしていくことになると思います。
40年前、マイクロソフトのビル・ゲイツや、アップルのスティーブ・ジョブズが世界を変えていったように、次の世界のために、新しい価値観が出てくることが、回復の鍵になると思います。
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コロナ後の世界を大胆予測
金融・お金はどうなるのか?資本主義は?国家は?
大きな流れの中で資本主義社会が、世界を牽引していくことは今後も変わりないと思います。前回の世界恐慌では、自国の経済を守るため、当時の世界をリードしていた先進国がブロック経済という保護主義に走りました。
今までも保護主義傾向だった中、今後もその傾向は続くのではないかと思います。
国と国のあり方として、考えなくてはならないことは、勝ち組(国家)はそのまま勝ち組(国家)で、負け組(国家)はそのまま負け組(国家)でという政策をとることが、今後の世界をどういう風にどうしていくのか?
90年前のように大きな戦争にならないために、大きな社会不安にならないように、私たちの行動は試されていると思います。
ビジネス、仕事はどう変わるのか?
今回初めて、テレワークを実践したという方も多いのではないでしょうか?ミーティングをZOOMというアプリを使って行った企業も多いと聞きます。若者は宴会を「宅呑み」にしてZOOMを使って会議をするように遠隔宴会をしているひとまで出てきてるといいます。
ビジネスでの現場において、必ずしも直接の面会が必要でない
コロナショックは皮肉にも人と人が直接会わなくてもビジネスができるということを、証明してしまいました。
出張や転勤がなくても良くなるかもしれません。東京に一極集中している必要がなくなります。パンデミックが起きた時、危ない都会ではなく安全な場所に疎開するそんなこともできるようになります。
今までも、銀行の手続きなどスマートフォンで済ますことができるようになり、銀行員のリストラが進んでいました。
もちろん、LIVE、Face to Faceは今後も重要だと思います。人間ですから直接会って握手して、直接目を見て息づかいを感じて交渉することは絶対に大事ですしなくなりません。
ミーティング・商談場所が変わる、時間・場所・移動手段を見直すきっかけに
必ず毎日出社しなくてはならない、週に一回東京に出張しなくてはならない、海外出張の費用と時間が勿体無いなど、いままで当たり前だった行動が見直されてくる事になります。
毎日出社していれば、業績をのこさなくてもクビにならなかったという甘い時代が終わりをつげるということです。
自由に仕事して、業績を上げる社員が重宝される実力社会。そしてそれは、年代間による賃金格差がなくなる事につながり、しいては、発展途上国にいる労働者と、日本にいる労働者も平等に評価される社会になっていくという事になります。いわゆる同一労働同一賃金がグローバルに進む事になります。
感染症との闘いで医療現場は
未知のウィルスとの闘いは、今回が最後では無いということがハッキリしました。今後もRNAしか持たないウィルスは変異を繰り返し、新たな脅威となって人類を恐怖に陥れるでしょう。
医療現場は、今回のパンデミックを教訓に、どのように感染を防ぎ、治療薬、ワクチンの開発をしていくのか真剣に考えていかなくてはならなくなると思います。
日本の医療は、すでに1年間の国民医療費が43兆円を越しています。未来の脅威にどれだけの予算を回すことができるのか?またいつ来るかわからない敵に対しての対策は、本当に難しいものがあります。
教育現場で進む遠隔事業は、教育格差をなくせるか?
ITを用いた遠隔授業が、今回多く行われました。学校生活にとって教室での友人とのやりとりや、体育館、校庭でのスポーツなど、集団生活を送ることで得られることは未来もなくなることはありません。
ITの利用が、個々の習熟度に合わせた教育に、落ちこぼれを無くせるか?
今回、遠隔授業を行うことで発見できた良い面について、ある教員がインタビューでこう答えていました。
「生徒の個々の意見を、教室で聞くより、細かく正確に把握することができた。」と
つまり、ITをつかうことで、個々の習熟度にあわせた教育が可能になるかもしれないということです。今後AIも教育現場に入っていく事になれば、子どもが100人いれば、100通りの教育環境を実践する事で、個々の能力を最大化することができるようになるかもしれません。
病気の子どもたちも、みんなと同じ授業、そして単位を
感染症になった子どもたちに限らず、大きな病気を患って授業を受けることができなかった子どもたちもいます。こういった子どもたちへの遠隔事業による単位の給付なども大阪などから徐々に広がっていましたが、さらに広がっていきます。
国を支えるのは教育だと言われています。国を支えるというと戦前みたいですが、個々の幸せの最大化のために、今回のことがターニングポイントになると思います。
9月学年始まりへの移行
欧米では、9月が学年の始まりの国が多いので、グローバル化を考えると9月に学年の始まりを持って行くチャンスになるかもしれないと思います。
9月が学年の始まりになることの意味は、教育界にはとどまりません。
子どもたちの行動が変わると言うことは、社会が変わると言うことになります。
このことが、教育現場以外にもたらすインパクトは、実はとても大きいので、この政策は、日本のバージョンアップに一役買う可能性があると考えています。
4,5,6月の学習の遅れを取り戻すために9月という議論ではなく、「シンニッポン」になるための起爆剤になるかもしれません。
まとめ
新型コロナウイルスのパンデミックが収束したとき、私たちが住んでいる世界は、パンデミックがなかった世界とは違う世界に住んでいるといっても過言ではありません。
過去に起こった、戦争や天災。起こってしまえば、その後の未来は確実に変わります。歴史が証明しています。
今回のパンデミックは、未曾有の天災であり、ある意味戦争であるといっても言い過ぎではありません。
「元の世界に戻す」ではなく、今回の教訓を糧に「新しい未来を造る」という意識を持てるかどうかが、復興の鍵になると思います。
5Gも普及するというタイミングです。
今までの価値観が大きく変わる瞬間に、私たちは立たされているのです。