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「福沢諭吉が印刷されたこの紙に本当に1万円の価値があるのか?」
という話を言ったり、聞いたことがあるのではないでしょうか?
日本国民が誰しも疑わない1万円札の価値。これがどういうことなのでしょう?
お金の成り立ちからお金の本質を紐解いていきたいと思います。
今回は具体的な年代などには言及せず、お金のはなし【前半】として紙幣の誕生までを解説していきます。
もくじ
物々交換のはじまり
お金が生まれる前、私たち人類は自給自足の生活をしていたと言われています。
まずはじめの経済活動として、物々交換をはじめました。
例えば、山でイノシシを獲ることが得意だった人たちと、海で魚や貝を獲ることが得意だった人たちが、それぞれの商品を直接交換したのだろうと言われています。
イノシシと魚だけではなく、草履と魚、装飾品とイノシシといったように、人間の生活に必要とするものは、交換して生活の質を高めていたと思います。
ここで、問題がおきます。
- 交換する品物が腐ってしまう。
- 物の価値を決められず、納得行く物々交換がしにくい。
こんな問題を解決するために、お金のような存在が次に出現します。
物品貨幣の誕生(お米、塩、布、農具など)
次に、物々交換の問題点を解決するために、お米、塩、布、農具など、誰もが必要とするものに替えておいておき、それと欲しい物を交換しました。
お米はその後も日本では、税金の代わりに年貢米として長年お金の役割を果たしていたことは誰もが知っていることです。
サラリーマンの「サラリー」の語源は「塩」であり、ローマ帝国の軍人への給料は「塩」だったと言われています。
ここで、問題がおきます。
- お米や塩は保管が難しいし、重い。
- 農具などは重い。
これらの問題を解決するために、軽くて保存が可能なお金が出現します。
古代中国、殷の時代に「貝」がお金に
貝は、小さく軽かったために、物品貨幣の進化系として、便利に利用されました。
ここで特に重宝されたのは、キレイな貝殻でした。その中でもタカラガイはキレイで、貝殻は丸みを帯びて光沢があり、陶磁器のような質感があり、アジア、アフリカ、オセアニア、アメリカで貨幣として利用されていました。
ここで、ようやくお金と呼んでも良いような形になったと言えます。
古代中国で使われていた貝貨。その時にできたお金に関係する漢字には「貝」がついたものがたくさんあります。例えば「財、買、贈、貨、貯、資など」数えたらきりがありません。
貝貨の問題としては、
- たくさん貯めるとかさばる。
- 貝をたくさん捕ることができてしまう。流通量がコントロールできない。
この流通量がコントロールできないということは、お金にはとても問題でした。
もちろんタカラガイは、海辺に行けば無数に捕れる貝では無かったのだろうと思われますが、たくさん撮れてしまうとお金の価値が下がってしまうインフレが起きてしまうことが、あったのだろうと思われます。
お金として認められるための必要要素
人類の歴史において、現在のお金ができるまでに、必要とされる要素として3つをまとめてみました。
- 希少性があり、みんなが欲しいと思うもの、
- 価値を表すことができるもの(例、500円玉と100円玉など)
- かさばらず持ち運びが簡単で、腐らないもの
これらを満たす形にどんどん変化を続けていきます。
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金属でつくった硬貨の登場
金属が発見され、農具、武器、鏡などに利用されるようになる中、貝の代わりに金属をお金として利用するようになりました。
金属は、希少価値があり、成形しやすく、持ち運びや保管に便利でした。
とくに金属の中でも銀や金は腐食されにくく、お金としての要素を満たしていたために、成形され世界で利用されることになります。
硬貨が誕生です。
古代中国で初めて作られ、トルコの周辺でも後に作られました。
日本で最初の公的な鋳造貨幣は「和同開珎(わどうかいちん)」です。
金属でできた硬貨は、日常の買い物をするのにはとても便利で、お金の地位を確立したかに見えました。しかし問題は出てきます。
- 大きな買い物をするとき、大量の硬貨が必要になる
- 蓄財をした時に大量の貨幣の保存が難しい
お金は次のステージに向かいます。
お金を預かって借用書を発行する銀行のはじまり
ここで、わかりやすいフィクションで説明していきたいと思います。
大金持ちのAさんが誕生します。Aさんは大量の貨幣や金の保管場所に困り、大きな頑丈な「蔵」を作りそこに保管するようになっていきます。「蔵持Aさん」の誕生です。
すると、ここで他のお金持ちBさんが効率的に貨幣や金を保管するのに、蔵持Aさんの蔵に預けるようになりました。そこで貨幣や金を預けていることを証明する「借用書」を発行することになります。
Aさんは、他のお金持ちさんからもどんどんお預かっては借用書を発行していく、今で言う銀行業をはじめました。
世の中(市中)にはAさんの借用書が出回るようになりました。
ここでお金にとって一番大事なことがあります。それは「蔵持Aさんは皆に信用されていた」ということです。
借用書がお金の代わりに紙幣の誕生、そして信用崩壊
借用書が出回るようになると、そのうち、借用書そのものの価値で物品と交換されるようになっていきました。
借用書とお米であったり、借用書と馬であったり、借用書と土地であったり、借用書は次第にお金になっていきました。紙幣の誕生です。
そこで、蔵持Aさんは大変大きなことに気づいてしまいます。
「自分が書いた借用書に価値がある」ということを。
Aさんは次第にお金を預からなくても借用書を作るようになっていきました。
Aさんが大量に作った借用書が、街にたくさん出回るようになっていきます。
このことに不信をいだいたBさんは、蔵持Aさんに貨幣を返してほしいと申し出ます。しかし、すでに不信を抱いた多くの人が蔵持Aさんのところに来て返金を求め、蔵は空っぽだったのです。
お金(蔵持Aさんの借用書)の信用度が地に落ちた瞬間でした。
紙幣の利用の進化
紙幣は、悪用されることが問題となり、お金として進化しない可能性もありましたが、とても便利な手法だったため、何度も試行錯誤が繰り返される中、一つの答えが見つかります。
時の権力者、国を治めている政府、国王がお金を管理することで、紙幣と硬貨の信用を保つようになりました。
国は、お金の信用を守るために、紙幣を発行する際に、錆びない希少価値のある「金(ゴールド)」をお金の信用の担保としていきます。つまり市中に出回る貨幣は、国の信用においていつでも「金(ゴールド)」と交換できるという裏付けを作りました。
当時の権力者も、紙幣発行に関しては「金(ゴールド)」という裏付けが無いと市民を信用させることができなかったととも言えます。
人々は、希少性、錆びない、キレイな「金(ゴールド)」という信頼性をもとに、国の発行する紙幣を信じて使うようになったのです。
前半のまとめ
人類が、紙幣をお金として利用するようになるところまでを書いてきました。フィクションも交えながら、できる限りわかりやすくと思って書きましたが、いかがでしたでしょうか?
お金の歴史は、これから近代に向けてもっとダイナミックに動いていきます。お金のはなしの続きは、あらためて記事にしていきます。今回はここまで。