『郵政3社長が引責辞任表明 長門氏「経営力のなさ反省」』日経WEB2019/12/27
『かんぽ・郵便、新規保険販売停止3カ月 金融庁が処分』日経WEB2019/12/27
郵政3社長(日本郵政・日本郵便・かんぽ生命)が揃って辞任会見を行いました。この件について解説します。
もくじ
かんぽ生命保険の不正な契約の問題を改めて解説
今回「日本郵便」が「かんぽ生命の商品」を販売していたのですが、問題を整理します。
まず、保険契約をする2つの前提条件
問題を理解するために、一般的な保険販売の成績がどのような仕組みになっているかを紹介します。
保険契約する場合、下記の2パターンあります。
- 何も保険に入っていない人や、他社の保険からの切り替えの場合
- 既に「かんぽ生命」に入っていて、新商品に切り替える場合
今回の場合、②の既に「かんぽ生命」のお客様の切替時に主に問題が発生しました。
「古いかんぽ生命」から「新商品かんぽ生命」への切り替えの内部ルール
新商品への切り替えルールで、今回ポイントは「普通の切り替えをしても成績にならない。」ということなんです。
切り替えても成績にしないのには理由があります。切り替えで成績にしてしまうと、営業が毎年切り替えを行ってしまうようになってしまいます。そもそもそんなことが起きたら、お客様の利益になりません。
そこで、営業職員の成績にするために編み出した裏技があったのです。それが今回の問題。
- 古い契約と新契約を6ヶ月以上重複してから古い契約をやめると成績になる。
- 古い契約をやめてから3ヶ月以上何も入っていない期間をいてからの新契約は成績になる。
お客様のことを考えたルールなのでしょうか?結果的にはお客様を営業職員の暴走から守るルールではありますが、その内部ルールを守りながら、お客様への不利益を考えなかったのです。
お客様へはどんな被害?
これらのルールを悪用しました。具体的にどんなお客様への被害が出たのかというと
- 本来払わなくて良い古い契約の保険料6ヶ月余分に払い続けなくてはならなかった。
- 3ヶ月間の間、保険がきかない期間ができた。新たに入れないケースも。
これらの問題以外にも、保険加入の際に、健康状態を告知書に記入してもらうが、その内容を正確に書かないように勧めたりしました。
このことで、実際に入院した時に保険給付ができなかったという不利益が生じていました。
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本当に最近の問題なのか?
大手メディアの報道をみると、社長の経営力の無さだとか言って、問題を収束させようとしているようにみえます。
今回の問題は、郵政民営化する前からも存在していた可能性が高い上に、苦情も上がっていたし、逆に言えば、みんな知っていた問題だったのです。
そして、もう一つ言っておかなくてはならないことは、処分をだした金融庁も以前から知っていた問題だったということです。
かんぽ生命は本当に生まれ変わることができるのか?
以前からわかっていた問題が、なぜ2019年に問題が表面化したのかといえば、金融庁は「かんぽ生命」に対して今までもずーーと警告を出し続けていたのに、全く改善されないから、仕方なくこの処分になったというのが本当のところでしょう。
現在「かんぽ生命」は、一般の生命保険会社、日本生命、第一生命、アフラックやメットライフなど多くの民間保険会社と同じルールで生命保険販売をすることを求められています。
かんぽ生命だけ見逃して行くのも限界だったということだと思います。
40万人の職員を抱える巨大組織である日本郵政グループ。
多くの日本の高齢者の貯金を預かっています。
まっとうな営業活動が本当にできるのか?
顧客保護の観点から、平成28年に金融庁が「顧客本位の業務運営」を発表しました。
民間会社も、かんぽ生命もこれからの本当の改革が求められています。
新しい経営陣の手腕が問われます。