厚生労働省は2020年1月24日に、2020年度の公的年金受給額を前年度比で0.2%引き上げると発表しました。
テレビニュースで「年金0.2%引き上げ」とだけメディアは報じていました。
テレビの視聴者ポジティブなイメージで伝わっているかもしれません。
高齢者に優しい嬉しいニュースに見えたのではないでしょうか?
本当に嬉しいニュースなのでしょうか?
実は、今回の引き上げが0.2%にとどまったのは、2004年小泉内閣の年金改革によって導入されたある制度によるものです。
私たちの年金制度について、もう一度ここで解説したいと思います。
もくじ
マクロ経済スライドとは
2004年の小泉内閣の時に、導入されたのが「マクロ経済スライド」です。当時の政権与党は、この制度を導入することで「100年安心プラン」だと豪語していました。本当にそうなっているのでしょうか?
いまさら言うまでもないですが、日本の公的年金は、若者が高齢者を支える形になっています。
高齢者の割合が増えると、バランスが崩れて若者の負担が増えることになります。
若い世代にとっては、大問題です。
今後若い世代の保険料負担が過剰にならないように、高齢者に支払う年金額の増加を物の値段や給料の増加より抑える仕組みが「マクロ経済スライド」です。
本来、年金は物の値段の上昇つまり「インフレ」が起きたときは、その上昇率に合わせて上昇させてきました。
物の値段が上昇している時に、年金の上昇率を緩やかにして、高齢者への負担がかかりにくくしているということです。
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マクロ経済スライドを実施できたのは、まだ2回だけ
政治家は、選挙で高齢者の票を頼りにしている
ここで、問題になるのは、政治家が誰の顔色をうかがって政治をしているかということです。
残念ながら、少子高齢化が進み、日本の人口は高齢者が多くなっています。その上、選挙になると高齢者は比較的投票率が高く、若年層は投票率が低いのが現状です。
政治家になるために、票を一票でも多く獲得したい候補者は、高齢者に痛みを生じる政策を掲げにくい構造になっています。
ここまで、事態が悪化する前になんとかしなくてはならない問題だったのかもしれません。
年金制度の崩壊は、国家の崩壊
年金制度が、崩壊するという言葉を、良く聞くようになりました。前項でも国の政策の失敗や、改革の難しさを書きました。
しかし、年金制度の崩壊はおきるという前提は、あまり考えられません。
もし、年金が崩壊するということは、生活保護をうける高齢者ばかりになるということになるからです。つまり、年金が生活保護に変わるだけで、結局社会保障の負担は、変わらないということになります。
私たちは、これからの高齢者が増えていく社会。寿命が延びていく社会をどうやって乗り越えるのか?
そして、高齢者もどうやって自分の生活を支えていくのか、国に頼らずに生きていくことを真剣に考えなくてはならない時期に来たということだと思います。
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